YouTubeに演奏音源をアップしました>>>Mussorgsky: Pictures at Exhibition -Promenade,The Old Castle

展覧会の絵

今年の3月2日に健軍ルーテル教会で開催したコンサートでの演奏です。

ムソルグスキー作曲の「展覧会の絵」から、「プロムナード」「古城」の2曲を演奏しています。

ムソルグスキー:Mussorgsky

ムソルグスキーは、1839年ロシア生まれの作曲家で、オペラや管弦楽曲、ピアノ曲、歌曲などたくさんの作品を残しています。そんな彼の作品の中でも有名なのがこの「展覧会の絵」ではないでしょうか。

展覧会の絵:Pictures at Exhibition

この曲は、展覧会の絵というタイトルのとおり、彼の友人ハルトマン(建築家・画家)の遺作展で目にした10枚の絵の印象を音楽にしたもので、元はピアノで演奏するために書かれました。

そして、その10曲だけでなく、冒頭といくつかの曲のまとまりの間には「プロムナード」という短い曲が挿入されるのですが、毎回異なる曲想で、展覧会を見て歩くムソルグスキー本人とその心境を表しているといわれています。

  1. プロムナード:Promenade
  2. 小人:Gnomus (ラテン語)
  3. プロムナード:Promenade
  4. 古城:Il Vecchio castello (イタリア語)
  5. プロムナード:Promenade
  6. テュイルリー、遊んだ後の子供たちのけんか:Tuileries (Dispute d’enfants après jeux)(フランス語)
  7. ビドロ: Bydło(ポーランド語)
  8. プロムナード: Promenade
  9. 卵の殻を付けたひな鳥の踊り:Балет невылупившихся птенцов(ロシア語)
  10. サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ: “Samuel” Goldenberg und “Schmuÿle”(イディッシュ語)
  11. プロムナード:Promenade
  12. リモージュの市場:Limoges. Le marché (La grande nouvelle)(フランス語)
  13. カタコンベーローマ時代の墓:Catacombae (Sepulcrum romanum)(ラテン語)
    死せる言葉による死者への呼びかけ:Cum mortuis in lingua mortua (ラテン語)
  14. 鶏の足の上に建つ小屋:Избушка на курьих ножках – Баба-Яга (ロシア語)
  15. キエフの大きな門:
    Богатырские ворота (В стольном городе во Киеве)(ロシア語)

自筆の原典版は以上15曲からなるピアノ組曲ですが、この作品が世界的に有名になったのは、1922年にパリで オーケストラ編曲によって演奏されたことによります。指揮者クーセヴィツキーから依頼を受けたラヴェルによってオーケストラのために編曲されのですが、その編曲が今日でもラヴェル版として演奏され愛されています。

今回なぜサクソフォンとピアノで?

この編曲でラヴェルが、「古城」の旋律をサクソフォンの独奏として書いているのです。しかし、これは当時とても珍しいこと。

サクソフォンが誕生したのが1840年代と歴史が浅い楽器のため、オーケストラの主要な古典作品群にはもちろん使われていませんし、西洋音楽史における重要な芸術家を多数輩出しているパリ音楽院に、長い空白ののちに サクソフォン科が 復活するのが1942年(ラヴェル版1922年)のことですから、オーケストラ作品の中にサクソフォンを用いることがどれだけ珍しかったことか。(それ以前では、1872年にビゼー作曲の「アルルの女」でサクソフォンを使ってくれている奇跡)

前置きが長くなりましたが(^^;

こんな名曲を演奏しないなんてもったいないということで、コンサートではそのラヴェル版をさらにサクソフォンとピアノのために編曲されたものを演奏しました。

原典版のピアノでの演奏やラヴェル版のオーケストラによる演奏、またいろいろな編曲の違いを聞き比べてみるのも面白いと思います。これをきっかけに、ぜひいろんな「展覧会の絵」に触れてみてください。

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